【Tour de France 2019】REPOS2
こんにちは、オーストラリア・ブリスベン在住のスポーツライターのAkane(@akane_ikeno)です。
7/6~7/28までの間、グランツールのひとつツール・ド・フランス(le Tour de France、以下:ツール)についての記事を毎日更新中。
今日は、第2週(第11ステージ~第15ステージ)を振り返りましょう。
第2週の記事まとめ
第1週のまとめ記事はこちらからご覧ください。
第11ステージ:Albi>Toulouse / 平坦 / 167 km
- ステージ優勝:カレブ・ユアン(AUS/Lotto Soudal)
この日のスタート地点・アルビ(Albi)出身のリリアン・カルメジャーヌ(FRA/Total Direct Energie)を含む4人が逃げた第11ステージ。
残り30kmで発生した集団落車では、総合勢の選手を含め、かなりの選手が巻き込まれました。
この落車の影響でニキ・テルプストラ(NED/Total Direct Energie)はその場でリタイア、ジャコモ・ニッツォーロ(ITA/Dimension Data)はフィニッシュしたものの翌日は出走サインに現れませんでした。
残り7kmでメイン集団は完全にひとつになり、完璧なリードアウトを受けたディラン・フルーネウェーヘン(NED/Jumbo-Visma)が満を持して発射。
その背後から猛烈な追い上げを見せたユアンとフルーネウェーヘンがフィニッシュラインに同着し、ユアンが今大会最小の10cm差で勝利しました。
第12ステージ:Toulouse>Bagnères-de-Bigorre/ 上級山岳 / 209.5 km
- ステージ優勝:サイモン・イェーツ(GBR/Mitchelton-SCOTT)
第12ステージの逃げが決まったのは、40kmを過ぎたころ。
38人の巨大な逃げ集団が誕生しました。
このステージである意味最も注目を集めてしまったのは、ひとりの選手のリタイア。
翌日のタイムトライアルで優勝大本命と目されていた世界チャンピオン・ローハン・デニス(AUS/Bahrain Merida)です。
コースを進むにつれて38名は細分化します。
追走や吸収合併、アタックなどを経て最終的に先頭に出たのは、サイモン・イェーツとグレゴール・ミュールベルガー(AUT/BORA-hansgrohe)、ペリョ・ビルバオ(ESP/Astana)の3人。
フィニッシュ前最後の左折の直前でイェーツがアタックし、そのままステージを制しました。
メイン集団はイェーツから9分35秒遅れでフィニッシュしています。
第13ステージ:Pau>Pau / ITT / 27.2 km
- ステージ優勝:ジュリアン・アラフィリップ(FRA/Deceuninck-QuickStep)
第13ステージは、今大会唯一の個人タイムトライアルです。
総合順位最下位のヨアン・オフレド(FRA/Wanty-Gobert)からコースに1分おきに放たれる選手の中で最も長時間ホットシートに座り続けたのは、ステージ8位のカスパー・アスグリーン(DEN/Deceuninck-QuickStep)。
トーマス・デヘント(BEL/Lotto Soudal)が16秒上回るタイムを叩き出すまで、デンマークのタイムトライアルチャンピオンは90人以上の走りをホットシートで見守りました。
デヘントに肉薄する選手がなかなか現れないまま、ついに総合トップ10がスタートしていきます。
リゴベルト・ウラン(COL/EF Education First)が0.28秒差で暫定2位になるものの、まだホットシートはデヘントのもの。
21秒差でデヘントを上回ったのは、ディフェンディングチャンピオンのゲラント・トーマス(GBR/Team INEOS)です。
しかし、トーマスがホットシートを確保したのは、たった106秒間。
すべての中間計測地点を全体トップタイムで通過したアラフィリップがトーマスを14秒上回り、タイム差を2広げることに成功しました。
第14ステージ:Tarbes>Tourmalet Barèges/ 上級山岳 / 117.5 km
- ステージ優勝:ティボー・ピノ(FRA/Groupama-FDJ)
第14ステージは、タイムトライアルのステージを除いて今大会最短距離の117.5km。
スタート直後に集団を飛び出したヴィンチェンツォ・ニバリ(ITA/Bahrain Merida)とペテル・サガン(SVK/BORA-hansgrohe)を含む17名の逃げ集団ができました。
この日は超級山岳トゥールマレー・バレージュ(Tourmalet Barèges)がフィニッシュ地点で、その前にも1級山岳のスロル(Soulor、残り57km地点)が登場。
スロルの登坂でメイン集団から遅れる総合勢や有力アシストも現れました。
スロルの山頂を前にアタックしたニバリと山岳賞ジャージのティム・ウェレンス(BEL/Lotto Soudal)、このステージで敢闘賞を獲得するエリー・ジェスベール(FRA/Arkéa Samsic)がトゥールマレーの途中まで逃げ続けます。
残り10km手前でジェスベールが吸収され、フランス勢の活躍が始まりました。
フランスチャンピオンジャージに袖を通す、2017年大会山岳賞のワレン・バルギル(FRA/Arkéa Samsic)のアタックや、今大会の参加選手中3番目に若いダヴィ・ゴデュ(FRA/Groupama-FDJ)の集団牽引やアタックが続きます。
フラム・ルージュを前にトーマスがが遅れ、残り250mでアタックしたピノがステージ優勝し、ステージ2位のアラフィリップにボーナスタイムを含めて10秒縮めました。
第15ステージ:Limoux>Foix Prat d’Albis / 上級山岳 / 185 km
- ステージ優勝:サイモン・イェーツ(GBR/Mitchelton-SCOTT)
逃げ集団が形成されるよりも前に、グルペットの形成が始まった第15ステージ。
最終的に38名の逃げ集団が形成されたのは、60.5km地点のモンセギュール(Montségur、2級)を通過してからでした。
平均勾配7.9%、最大勾配18%のミュール・ド・ペゲール(Mur de Péguère、1級)の上りでシモン・ゲシュケ(GER/CCC Team)がアタック、山頂でサイモン・イェーツがゲシュケを捉え、フィニッシュ地点のフォア・プラ・ダルビス(Foix Prat d’Albis、1級)へ。
フォア・プラ・ダルビスの上りでゲシュケを置き去りにしたイェーツがそのままだい12ステージに続いてステージ優勝しました。
ピノが第14ステージ優勝に続いてい後続に差をつけるステージ2位でフィニッシュし、同タイムでミケル・ランダ(ESP/Movistar)がステージ3位に。
アラフィリップはイェーツから1分49秒遅れのステージ11位でした。
第2週の総合順位と4賞+チーム順位まとめ
第11ステージから第15ステージの各賞の動きを見ていきましょう。
第2週の総合順位
⭐️ Podiums after Stage 15
⭐️ Podiums après l’Étape 15💛 🇫🇷 @alafpolak1
💚 🇸🇰 @petosagan
🔴 🇧🇪 @Tim_Wellens
⚪️ 🇨🇴 @Eganbernal #TDF2019 pic.twitter.com/PQCH1XHCmL— Tour de France™ (@LeTour) 2019年7月21日
- ジュリアン・アラフィリップ(FRA/Deceuninck-QuickStep):61h 00′ 22
- ゲラント・トーマス(GBR/Team INEOS):+ 01′ 35
- ステフェン・クライスヴァイク(NED/Jumbo-Visma):+ 01′ 47
- ティボー・ピノ(FRA/Groupama-FDJ):+ 01′ 50
- エガン・ベルナル(COL/Team INEOS):+ 02′ 02
- エマヌエル・ブッフマン(GER/BORA-hansgrohe):+ 02′ 14
- ミケル・ランダ(ESP/Movistar):+ 04′ 54
- アレハンドロ・バルベルデ(ESP/Movistar):+ 05′ 00
- ヤコブ・フグルサング(DEN/Astana):+ 05′ 27
- リゴベルト・ウラン(COL/EF Education First):+ 05′ 33
第15ステージまで無事完走したのは、第1週を完走した171選手中164選手。
第1週でリタイアした選手に加え、新たに7選手は第2週のうちにリタイアしています。
第2週のマイヨ・ジョーヌ

第2週終了時点での総合トップ5の比較です。
終始アラフィリップがマイヨ・ジョーヌをキープし、タイム差は第1週終了時のトーマス(1分12秒)以上に近づけさせていません。
驚くべきは、ピノの追い上げ。
第13ステージで3分22秒差まで広がった差は、第15ステージ終了時点で1分53秒差に。
第9ステージまでアラフィリップに53秒差に迫っていて、第10ステージでその差が一気に2分33秒まで拡大したピノ。
たらればは禁物ですが、もしこの100秒がなければ、(第2週の差は変わらないとして)アラフィリップとピノのタイム差は13秒でした。
もちろん第3週にピノが自力でマイヨ・ジョーヌをアラフィリップからもぎ取る可能性もありますが、Team Ineosもトーマスとベルナルがトップ5につけていて不気味。
アシスト陣の不調がささやかれていましたが、第3週まで温存していただけという説も根強いです。
ポディウム圏内に位置するクライスヴァイクもジョージ・ベネット(NZL/Jumbo-Visma)やローレンス・デプルス(BEL/Jumbo-Visma)らアシスト陣が好調で、第3週の活躍も期待されています。
第2週のマイヨ・ヴェール

第2週終了時点でのポイント賞トップ5の比較です。
第13ステージのタイムトライアルはもちろん、山岳ステージがあったことから、ポイント賞上位陣に動きがみられたのは第11ステージがほとんど。
トップ5で誰よりも積極的にポイント獲得に向けて動いたのは、マイヨ・ヴェールのサガンでした。
現実的な話として、スプリンター勢がフィニッシュ地点でスプリントポイント獲得を見込めるのは、平坦の第16、第21ステージ、あとは第17ステージ。
第17ステージのカテゴリー山岳は4級と3級が各1つなので、集団スプリントに持ち込むことは不可能ではないものの、逃げ切りステージ優勝の可能性もかなり高いです。
中間スプリントポイントであれば、そこまでに3つのカテゴリー山岳を越える第19ステージ以外の5日間はスプリンターにもチャンスがあります。
第18ステージも13km地点に3級山岳があり、中間スプリントポイントのあとは1級山岳と超級山岳が待ち受けますが、中間スプリントポイントまで逃げに乗るのも選択肢のひとつです。
上記から、ポイント賞狙いの選手が獲得できるスプリントポイントは、現実的なことを考えても最大で200ptほど。
まだ勝負の行方はわかりませんが、サガンがツールを去らない限りはサガンが7回目のマイヨ・ヴェール獲得を決めそうです。
第2週のマイヨ・ア・ポワ

第2週終了時点での山岳賞トップ5の比較です。
ウェレンス、デヘント、ジュリオ・チッコーネ(ITA/Trek-Segafredo)がほとんどのポイントを第1週のうちに稼いでいるのに対し、ピノとアラフィリップは第14ステージのトゥールマレーで大量にポイントを獲得していること。
超級山岳の比率がぐっと上がっているので、超級山岳ひとつ先頭通過すれば、現在のデヘントの獲得ポイントを上回れます。
第3週のカテゴリー山岳をすべて先頭通過すると、212pt。
第20ステージが終わるまで、山岳賞争いはまったく見通しが立ちません。
現在マイヨ・ア・ポワに袖を通すウェレンスは、第19ステージからはノーマルジャージを着ることになるでしょう。
第2週のマイヨ・ブラン

第2週終了時点での新人賞トップ5の比較です。
実は4賞で一番変動が激しかったのは新人賞争いです。
第13ステージで一度エンリク・マス(ESP/Deceuninck-QuickStep)にジャージを譲るものの、それ以外はベルナルが新人賞ジャージを死守。
後続との差をつけています。
山岳でピノのアシストをし、総合でも18位にいるゴデュが新人賞2位に浮上。
とはいえ、第15ステージ終了時点でベルナルと12分29秒差なので、ベルナルが大崩れするかリタイアするかでもない限り、ほぼ確実にベルナルが新人賞ジャージを手にするでしょう。
第2週のチーム順位

第2週終了時点でのチームトップ5の比較です。
MovistarとTrek-Segafredoのチーム優勝争いが熾烈を極めた第2週ですが、第15ステージで「トリプルエース」をトップ20に送り込んだMovistarが、Trek-Segafredoを大きく突き放しました。
第3週はアルプスでの戦いが本格化し、アシストが温存しているとの噂もまことしやかに囁かれるTeam Ineosが逆転する可能性もあります。
第15ステージのチーム優勝も実はTeam Ineosで、Movistarから51秒奪いました。
とはいえ、グランツールのチーム順位にはめっぽう強いMovistar。
今回もこのままMovistarがチーム優勝を獲得する可能性が高そうです。
第2週の敢闘賞
- 第11ステージ:アイメ・デヘント(BEL/Wanty-Gobert)
- 第12ステージ:マッテオ・トレンティン(ITA/Mitchelton-SCOTT)
- 第13ステージ:-
- 第14ステージ:エリー・ジェスベール(FRA/Arkéa Samsic)
- 第15ステージ:ミケル・ランダ(ESP/Movistar)
第13ステージは個人タイムトライアルなので、敢闘賞の対象がいませんでした。
少人数でのスプリントになった場合、ステージ優勝でなかった方に敢闘賞が与えられた第1週でしたが、第12ステージでは最後までサイモン・イェーツと争ったミュールベルガーやビルバオは敢闘賞に選ばれていません。
ステージ中盤から後半にかけて逃げ集団内で動きを見せたトレンティンが獲得しました。
昨年はダニエル・マーティン(IRL/UAE Team Emirates)が獲得した、大会の総合敢闘賞。
もしアラフィリップが優勝を逃せば、アラフィリップが獲得する可能性は高そうです。
では、アラフィリップがパリでもマイヨ・ジョーヌを着ていた場合は…?
第3週の概要
第3週は、いよいよシャンゼリゼへ。
ここまでアラフィリップが快進撃を続けていますが、フランスに34年ぶりのマイヨ・ジョーヌをもたらせるでしょうか?
第3週のブログ更新&J SPORTS放送時間まとめ
第3週のブログ更新&J SPORTSのツール放送時間をまとめました!
- 第16ステージ:ブログは20:25更新予定、J SPORTSの放送は20:55開始
- 第17ステージ:ブログは20:25更新予定、J SPORTSの放送は20:55開始
- 第18ステージ:ブログは17:15更新予定、J SPORTSの放送は17:45開始
- 第19ステージ:ブログは17:50更新予定、J SPORTSの放送は18:20開始
- 第20ステージ:ブログは17:40更新予定、J SPORTSの放送は18:10開始
- 第21ステージ:ブログは23:55更新予定、J SPORTSの放送は24:25開始
お見逃しなく!