【Vuelta a España 2018】記事まとめ
こんにちは、スポーツライターのAkane(@akane_ikeno)です。
8/25~9/16までの間、グランツールの一つブエルタ・ア・エスパーニャ(Vuelta a España)のコース紹介記事を毎日更新していました。
今回は、この期間で更新した記事を一覧にまとめたものをシェアします。
第73回大会の総ざらいもこれでばっちり!
大会は終わりましたが、今から来年の第74大会に向けて大会公式Twitterアカウント(@lavuelta)や公式アプリも要チェックです!
ブエルタ・ア・エスパーニャ2018記事一覧
休息日を区切りにしてまとめています。
第1ステージ(8/25)~第9ステージ(9/2)
第1ステージ:マラガ~マラガ/ITT/8.0km
オーストラリアTTチャンピオンのローハン・デニス(AUS/BMC)がマイヨ・ロホを獲得。
ミハウ・クフィアトコフスキー(POL/Team Sky)、ヴィクトール・カンペナールツ(BEL/Lotto Soudal)が続き、トップ5の選手が10分を切りました。
第2ステージ:マルベーリャ~カミニート・デル・レイ/平坦/163.5km
平坦ステージながら頂上フィニッシュの第2ステージは、アレハンドロ・バルベルデ(ESP/Movistar)がクフィアトコフスキーを抑えてフィニッシュ。
予想以上に総合勢でもタイム差がついたステージになりました。
マイヨ・ロホはクフィアトコフスキーに。
第3ステージ:ミハス~アラウリン・デ・ラ・トレ/中級山岳/178.2km
スプリント勝負をエリア・ヴィヴィアーニ(ITA/Quick-Step)が制し、個人でシーズン12勝目を挙げたステージ。
総合勢に順位変動は見られませんでした。
第4ステージ:ベレス-マラガ~アルファカル・シエラ・デ・ラ・アルファグアラ/中級山岳/161.4km
ブエルタ初登場の山頂でフィニッシュを迎えたこのステージでは、ベンジャミン・キング(USA/Dimension Data)が自身初のグランツールでステージ優勝を達成。
マイヨ・ロホこそクフィアトコフスキーがキープしましたが、2位にはエマヌエル・ブッフマン(GER/BORA – hansgrohe)、3位にはサイモン・イェーツ(GBR/Mitchelton-SCOTT)が台頭するなど、総合上位の入れ替わりが発生しました。
第5ステージ:グラナダ~ロケタス・デ・マル/中級山岳/188.7km
第4ステージに引き続き、25人の大集団の逃げ切りが成功したステージ。
サイモン・クラーク(AUS/EF Education First – Drapac)がアレッサンドロ・デマルキ(ITA/BMC)、バウケ・モレマ(NED/TREK-Segafread)との勝負を制してステージ優勝。
第4ステージ終了時点で総合28位・第5ステージ6位のルディ・モラール(FRA/Groupama-FDJ)にマイヨ・ロホが渡りました。
第6ステージ:ウエルカル・オベラ~ハビエル-マール・メノール/平坦/155.7km
総合争いから脱落したリッチー・ポート(AUS/BMC)が逃げ集団に入ったステージ。
ナセル・ブアニ(FRA/COFIDIS)が今大会最初のプロコンチネンタルチーム所属選手によるステージ優勝を達成。
ティボー・ピノ(FRA/Groupama-FDJ)やウィルコ・ケルデルマン(NED/Team Sunweb)が海辺の横風分断でタイムを失いました。
第7ステージ:プエルト・ルンブレラス~ポソ・アルコン/平坦/185.7km
第2ステージ以来2度目の”平坦詐欺”ステージ。
終盤のダウンヒルで落車したクフィアトコフスキーがタイムを失いました。
ステージ優勝は、ラスト2kmから単独で逃げたトニー・ガロパン(FRA/AG2R)。
第8ステージ:リナーレス~アルマデン/平坦/195.1km
逃げ集団が最大12分差をメイン集団に対してつけたステージ。
バルベルデがステージ2勝目を早くもあげました。
平坦で集団スプリントが期待されましたが、ステージ上位に名を連ねたのはスプリンターではなく総合上位勢。
第9ステージ:タラベラ・デ・ラ・レイナ~ラ・コバティリャ/上級山岳/200.8km
バルベルデの代わりにコンビナーダを着用するキングがステージ2勝目。
総合勢も入れ替わり、マイヨ・ロホはモラールからサイモン・イェーツに。
休息日
第10ステージ(9/4)~第15ステージ(9/9)
第10ステージ:サラマンカ-VIIIセンテナリオ・ウニバシダド・デ・サラマンカ~フェルモセリェ-ベルミージョ・デ・サヤゴ/平坦/177.0km
第2週唯一の平坦ステージ。
集団スプリントではヴィヴィアーニが今大会ステージ2勝目をあげました。
ツール・ド・フランスではマイヨ・ベルデ常連のペテル・サガン(SVK/BORA – hansgrohe)がようやくプントスを獲得。
第11ステージ:モンブエイ~リベイラ・サクラ-ルイントラ/中級山岳/207.8km
長い間アタック合戦が繰り広げられ、総合16位のピノが19人の逃げ集団に入ったステージ。
デマルキがホナタン・レストレポ(COL/KATUSHA ALPECIN)を振り切って独走態勢でフィニッシュしました。
今大会最年長のフランコ・ペリツォッティ(ITA/Bahrain Merida)がステージ3位に食い込んでいます。
第12ステージ:モンドニェード~ファーロ・デ・エスタカ・デ・バレス-マニョン/中山岳/181.1km
アレクサンドル・ジェニエス(FRA/AG2R)が優勝したステージ。
今年はジロ、ツールともにステージ優勝がなかったAG2Rですが、ブエルタでは第7ステージのガロパンを含めステージ2勝をあげています。
マイヨ・ロホは18人の逃げ集団にいたヘスス・エラダ(ESP/COFIDIS)のもとへ。
第13ステージ:カンダス-カレーニョ~バレ・デ・サベーロ-ラ・カンペロナ/上級山岳/174.8km
頂上フィニッシュ3連戦がようやくスタート。
最高勾配19%の激坂決戦を制したのは、オスカル・ロドリゲス(ESP/Euskadi)。
グランツールの上級山岳頂上フィニッシュのステージでプロ初勝利を飾った、これから注目の23歳です。
第14ステージ:システィエルナ~レス・プラエレス・ナバ/上級山岳/171.0km
総合上位陣のラスト4kmの激戦が見どころのステージ。
総合2位のサイモン・イェーツがステージ優勝し、マイヨ・ロホを手元に戻しました。
ヴィンチェンツォ・ニバリ(ITA/Bahrain Merida)の下りアシストが、逃げていた下り巧者のクフィアトコフスキーとの差を縮めるカギに。
第15ステージ:リベラ・デ・アリバ~ラゴス・デ・コバドンガ-センテナリオス2018/上級山岳/178.2km
ブエルタ名物ともいえるラゴス・デ・コバドンガ(Lagos de Covadonga)で山頂フィニッシュを迎えたステージ。
ピノがブエルタ初優勝を飾り、すべてのグランツールでステージ優勝を達成。
サイモン・イェーツがマイヨ・ロホをキープしたまま最終週に突入します。
休息日
第16ステージ(9/11)~第21ステージ(9/16)
第16ステージ:サンティリャーナ・デル・マル~トラレベーガ/ITT/32.0km
32kmの個人タイムトライアルステージ。
第1ステージに続いてデニスが文句なしの優勝でブエルタを後にしました。
エンリク・マス(ESP/Quick-Step)がステージ6位で総合順位を上げ、ミゲルアンヘル・ロペス(COL/Astana)から新人賞を奪回しています。
第17ステージ:ゲチョ~バルコン・デ・ビスカヤ/中級山岳/157.0km
濃霧の山頂フィニッシュとなったステージ。
26人の逃げ集団からマイケル・ウッズ(CAN/EF Education First – Drapac)がグランツール初勝利を飾りました。
ナイロ・キンタナ(COL/Movistar)がチームメイトのバルベルデから2分近く遅れ、チームのエースをバルベルデに託します。
第18ステージ:ヘヘア・デ・ロス・ガバジェロス~リェイダ/平坦/186.1km
ブエルタではTTステージとマドリード以外では滅多に見かけない、カテゴリー山岳なしのステージ。
逃げ切りに成功したイェーレ・ワライス(BEL/Lotto Soudal)がステージ優勝しました。
第19ステージ:リェイダ~アンドラ・ナトゥランディア/平坦/154.4km
標高170mの街からスタートして、標高2,025mの1級山岳でフィニッシュする”平坦”ステージ。
コバドンガに続き、ピノがステージ優勝。
サイモン・イェーツと2位バルベルデのタイム差は1分38秒に広がりました。
第20ステージ:アンドラ-エスカルデス・エンゴルダニ~コル・デ・ラ・ガリナ-サントゥアリ・デ・カノリク/上級山岳/97.3km
短いステージに山岳を6つ詰め込んだクイーンステージ。
マスがグランツールのステージ初優勝を決めました。
第21ステージ:アルコルコン~マドリード/平坦/100.9km
平成ブエルタ全637ステージの締めくくりとなったステージ。
ヴィヴィアーニが今大会個人最多のステージ3勝を達成しました。
第20ステージ終了後に今大会をもっての現役引退を表明したイゴール・アントン(ESP/Dimension Data)の最後のレースに。
最終週まとめ
総合順位
Gracias equipo @AstanaTeam por tanto trabajo detrás de este gran logro hay mucho sacrificio trabajo entrega gracias compañeros de @lavuelta unidos somos más fuertes @bettiniphoto pic.twitter.com/TRn1M7lhbj
— Miguel Angel Lopez M (@SupermanlopezN) September 17, 2018
サイモン・イェーツがグランツール初優勝。
ジロ・デ・イタリアのクリストファー・フルーム(GBR/Team Sky)、ツール・ド・フランスのゲラント・トーマス(GBR/Team Sky)に続いてイギリスの選手が優勝しました。
- サイモン・イェーツ(GBR/Mitchelton-SCOTT):82h 05′ 58
- エンリク・マス(ESP/Quick-Step):+ 01′ 46
- ミゲルアンヘル・ロペス(COL/Astana):+ 02′ 04
- ステフェン・クライスヴァイク(NED/Lotto NL Jumbo):+ 02′ 54
- アレハンドロ・バルベルデ(ESP/Movistar):+ 04′ 28
- ティボー・ピノ(FRA/Groupama-FDJ):+ 05′ 57
- リゴベルト・ウラン(COL/EF Education First – Drapac):+ 06′ 07
- ナイロ・キンタナ(COL/Movistar):+ 06′ 51
- ヨン・イサギレ(ESP/Bahrain Merida):+ 11′ 09
- ウィルコ・ケルデルマン(NED/Team Sunweb):+ 11′ 11
ここで注目なのは、総合9位のヨン。
総合4位(第11ステージ終了時)が最高位だったものの、今大会出場者176選手のなかで唯一21日間総合トップ10をキープした選手です。
ステージ優勝はなかったし、各ステージで見ればアシストを活かしきれず失速する場面も多く見られましたが、タイムトライアルも含めた総合力がある選手だからこそできたこと。
4賞ジャージ+3
Etapa 21 | Stage 21 #LaVuelta18
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— La Vuelta (@lavuelta) September 16, 2018
サイモン・イェーツが4賞中2賞を獲得。
マイヨ・ロホ(総合首位):サイモン・イェーツ(GBR/Mitchelton-SCOTT):82h 05′ 58
マイヨ・ベルデ(ポイント賞):アレハンドロ・バルベルデ(ESP/Movistar):131 pts
マイヨ・デ・ルナレス (山岳賞):トーマス・デヘント(BEL/Lotto Soudal):95 pts
マイヨ・ブランコ(コンビナーダ):サイモン・イェーツ(GBR/Mitchelton-SCOTT):9 pts(1+2+6)
チーム優勝:Movistar:246h 50′ 04
総合敢闘賞:バウケ・モレマ(NED/TREK-Segafread)※総合30位
新人賞:エンリク・マス(ESP/Quick-Step)※総合2位
総合2位のマスが新人賞を獲得。
マスはもちろん、総合3位のロペスも来年も新人賞の対象です。
敢闘賞のTwitter投票はやはりスペイン人選手が選ばれる
Happy to win the super combativity award in @lavuelta. A nice reward after 3 weeks of suffering and fighting in Spain!! #LaVuelta18 pic.twitter.com/zOPGM7RDuc
— Bauke Mollema (@BaukeMollema) September 16, 2018
今大会からブエルタでは他のグランツールにはない、敢闘賞のTwitter投票制を始めました。
知らない人にも説明すると、次のツイートのように毎ステージ終盤に30分~40分の投票タイムを設けた投票ツイートを大会公式アカウントが発信。
Twitterユーザーは大会運営側が選出した3選手から選んで投票し、一番獲得票数が多かった選手がその日の敢闘賞に選ばれるシステムです。
💡 Elige al más combativo de la Etapa 2⃣ y gana un maillot de @fenieenergia 💡
✅ VOTA + RT con el hashtag del ciclista ✅#FenieEnergiaMate#FenieEnergiaRolland#FenieEnergiaLastra
+ info ➡️ https://t.co/DgLmHUtgMr #CombativoVuelta #VueltaRTVE @ciclismortve
— La Vuelta (@lavuelta) August 26, 2018
その結果の一覧が次の表です。
投票の数字は各選手が獲得した表のパーセンテージになっています。
個人タイムトライアルの第1、16ステージでは投票が行われず、ステージ優勝のデニスが敢闘賞に選ばれました。
ここからわかるのは、次の3つ。
- 投票で敢闘賞が選ばれる18ステージのうち、11ステージでスペイン人選手が選ばれている
- 敢闘賞がスペイン以外の選手のとき、投票対象にスペイン人選手がいない(※第15ステージを除く)
- 誰かが圧勝するよりは接戦の傾向に
1. 投票で敢闘賞が選ばれる18ステージのうち、
12ステージでスペイン人選手が選ばれている
表の1位の項目を見ていただくと、赤字がぎっしり。
個人タイムトライアルの第1、16ステージとステージ敢闘賞なしの第21ステージを除いた18ステージのうち12ステージはスペイン人選手が敢闘賞。
つまり、3日間のうち2日はスペイン人選手が敢闘賞を獲得する計算に。
第15ステージのイヴァン・ガルシア(ESP/Bahrain Merida)以外は、スペイン人選手が3人の中にいるときは必ず敢闘賞に選ばれています。
2人のスペイン人選手が投票対象になったとき(上記表の縦軸2、3)は、敢闘賞ではないスペイン人選手が2位のときも3位のときもありました。
スペイン人選手というだけで票が集まるわけではなさそうです。
2. 敢闘賞がスペイン以外の選手のとき、
投票対象にスペイン人選手がいない(※第15ステージを除く)
表の太字部分を見ていただければわかるのですが、投票でスペイン以外の選手が敢闘賞に選ばれたときは、3人の候補にスペイン人選手は入っていません。
こうなると「スペイン人選手がいるときはスペイン人選手が選ばれる」傾向が強いと考えられるので、1. の「スペイン人選手だというだけで票が集まるわけではない」というには疑問が残ります。
唯一の例外となった第15ステージですが、ダウンヒルで前に出たりしたモレマの積極的な動きが投票につながったと推測されます。
投票開始序盤はモレマが過半数の票を集めるときもありましたが、ガルシアとモレマが2人で逃げ集団を飛び出してからはガルシアに票が集中して、最終的に2%差の接戦に。
ガルシアが残り20kmで単独先頭になる前に投票は締め切られたので、投票開始のタイミングが遅かったらガルシアが敢闘賞を獲得していた可能性は十分ありました。
ちなみに総合敢闘賞のモレマは、4回敢闘賞候補にノミネートされたうち3回で敢闘賞に選ばれています。
唯一選ばれなかったのは第20ステージですが、一番獲得票が少ないモレマですら23%の票を獲得した接戦のステージでした。
3. 誰かが圧勝するよりは接戦の傾向に
3位の選手の獲得票率が1桁になったのは、第7、11、14、17ステージ。
第14ステージは例外として、ほかの3ステージでは2位の選手も40%以上の票を獲得していて接戦に。
ひとりの選手が圧倒的な票を持っていくことはありませんでした。
上位2選手の票数が最も拮抗したのは、第15ステージ。
ガルシアがモレマと逃げ集団を飛び出したことから、投票期間の後半にガルシア票が集中しました。
ちなみに1位が圧倒的な票を集めたのは第4ステージの71%。
ステージ優勝のキングは投票対象に入っていませんでした。
また、3位の選手が20%以上の票を集めて三つ巴で拮抗したのが、第6ステージと第13ステージ、第20ステージの3日間。
敢闘賞の選手が40%以下になったのはこの3ステージだけ。
最後に
2018年ブエルタ・ア・エスパーニャのブログはこれにて終了です。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
それでは!