【Giro d’Italia 2018】TAPPA19
こんにちは、スポーツライターのAkane(@akane_ikeno)です。
グランツールの一つジロ・デ・イタリア(Giro d’Italia)のコース紹介記事を毎日更新しています!
前日のレースの簡単な振り返りも行うので、レースを見逃した人はもちろん、レースを見た人もおさらいとしてご覧ください。
大会公式Twitterアカウント(@giroditalia)や公式アプリも要チェックです!
第18ステージをプレイバック
今大会きっての大逃げ成功のステージとなった第18ステージを振り返りましょう!
第18ステージ:レース展開
12人の逃げ集団はアクチュアル・スタート50kmほどでメイン集団との差を9分以上に広げました。
逃げ集団に入ったのは、下記の選手たち。
- ダヴィデ・バッレリーニ(@ballero_94/ITA/ANDRONI GIOCATTOLI – SIDERMEC)
- マッティーア・カッタネオ(@cattamat/ITA/ANDRONI GIOCATTOLI – SIDERMEC)
- クリストフ・フィングステン(@Ch_Pfingsten/GER/BORA – HANSGROHE)
- ルーベン・プラサ(ESP/ISRAEL CYCLING ACADEMY)
- ビアチェスラフ・クズネツォフ(@v_kuznetsov89/RUS/TEAM KATUSHA ALPECIN)
- ヨス・ファン・エムデン(@josvanemden/NED/TEAM LOTTO NL – JUMBO)
- ボーイ・ファンポッペル(@bvp88/NED/TREK – SEGAFREDO)
- マルコ・マルカート(@MarcatoMarco/ITA/UAE TEAM EMIRATES)
- ミケル・モルコフ(@MichaelMorkov/DEN/QUICK-STEP FLOORS)
- マクシミリアン・シャッハマン(@MaxSchachmann/GER/QUICK-STEP FLOORS)
- ジュゼッペ・フォンツィ(@fonzig91/ITA/WILIER TRIESTINA – SELLE ITALIA)
- アレックス・トゥリン(@AlexTurrin/ITA/WILIER TRIESTINA – SELLE ITALIA)
逃げ集団の総合最上位がシャッハマンの27位なので、総合上位勢に影響を及ぼすことはなさそうです。
残り20kmまでは何もなく通過。逃げ切り成功が濃厚に
レース中盤までに一時期13分まで逃げ集団とメイン集団の差は開きましたが、補給地点では12分50秒ほどの差になっています。
残り65.3km地点の最初の中間スプリントポイント・グリンツァーネ・カヴールではメイン集団との差を14分8秒まで広げ、バッレリーニ、フォンツィ、エムデンの順で通過しました。
このまま10km上って4級山岳・ノヴェッロへ。
ノヴェッロはフォンツィ、バッレリーニ、フィングステンがポイントを獲得しました。
ここからはフィニッシュ地点・プラート・ネヴォゾに向けて徐々に上っていきます。
フィニッシュ地点まで40kmのところで逃げ集団とメイン集団の差は14分8秒と、グリンツァーネ・カヴールと変わらず。
このまま逃げ集団の逃げ切りも見えてきました。
残り26.1km地点の2つ目の中間スプリントポイント・モンドビもグリンツァーネ・カヴールに続いてバッレリーニが首位通過。
後続はファンポッペル、フォンツィの順で続き、メイン集団とのタイム差は15分にまで広がりました。
逃げ集団が動き始めたのは残り20km
残り20km地点で逃げ集団に動きが。
ファンポッペルが前に出ました。
11人はファンポッペルを追わず、ぐんぐん差が広がります。
残り10kmを切ってファンポッペルも逃げ集団に吸収され、逃げ集団もちぎれ始めます。
その一方でようやく残り15kmゲートを通過したメイン集団はMITCHELTON – SCOTT(@MitcheltonSCOTT)が集団を牽き続け、まだ大きな動きが見られません。
残り8.8kmでプラサがアタックをし、シャッハマンとフィングステン、カッタネオ、モロコフ、マルカートが追走して先頭集団は6人に。
再度プラサが仕掛けたアタックでモロコフとマルカートはついていけず、集団は4人になります。
さらにマルカートが仕掛けたアタックにプラサが離され、残り7kmで先頭は3人になりました。
残り6.5kmでプラサが集団に復帰したと思いきやフィングステン、シャッハマンのドイツ勢が立て続けにカウンターアタック。
シャッハマンをカッタネオが追うものの、フィングステンは追いつけません。
ラスト10kmでメイン集団にも動きが出始める
後方のメイン集団ではラスト10kmでホセ・ゴンサルヴェス(@josegoncalvesim/POR/TEAM KATUSHA ALPECIN)が前に出ます。
追走する選手はいなかったものの、しばらくして集団に戻りました。
残り4km辺りでシャッハマンがペースを上げ、カッタネオは決して牽かず並ばず、後ろにつきます。
先頭が残り3km地点に来た頃、メイン集団ではMOVISTAR TEAM(@movistar_team)が集団を引っ張り始め、列が縦長になってきました。
残り2.8kmで再びプラサが2人に追いついて前に出たものの、カウンターアタックでまた差を広げます。
カッタネオがついに仕掛けたのが、残り2km。
シャッハマンもついていきます。
後方集団ではウァウテル・プールス(@WoutPoels/NED/Team Sky)がアタック。
ペリョ・ビルバオ(@PelloBilbao1990/ESP/ASTANA PRO TEAM)とベン・オコナー(@ben_oconnor95/AUS/TEAM DIMENSION DATA)が追走します。
シャッハマンとカッタネオがフラム・ルージュを通過するころ、三度プラサが追い付きました。
九十九折りの上りを利用してシャッハマンがアタックし、そのまま逃げ切ってステージ優勝。
2位には粘りに粘ったプラサが、3位にはカッタネオが続きました。
総合上位勢で動き始めたのはマリア・ビアンカを争う2人
その頃のメイン集団からはリチャル・カラパス(@RichardCarapazM/ECU/MOVISTAR TEAM)が飛び出し、追走したミゲル・アンヘル・ロペス(@SupermanlopezN/COL/ASTANA PRO TEAM)がそのまま抜き去ります。
そのままロペスは前方のプールスにも追いつき、抜き去ろうとしましたが、プールスはロペスの後ろにつきました。
プールスもロペスに追いつけず、ロペスが独走態勢に。
メイン集団からはジョージ・ベネット(@georgenbennett/NZL/TEAM LOTTO NL – JUMBO)が飛び出し、ビルバオが追走します。
大事なところでプールスがフルームを牽引し、総合争いもさらに混戦模様
ビルバオから遅れたトム・デュムラン(@tom_dumoulin/NED/Team Sunweb)がアタックを仕掛け、サイモン・イェーツ(@SimonYatess/GBR/MITCHELTON – SCOTT)とドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(@pozzovivod/ITA/BAHRAIN – MERIDA)が追走。
すぐに前方を走っていたカラパスを捉え、4人の集団となって前を追います。
クリス・フルーム(@chrisfroome/GBR/Team Sky)が追い付いてそのままアタックし、デュムランとポッツォヴィーヴォが反応したものの、ここでサイモンが遅れました。
フラム・ルージュを通過するころには、総合上位のライバル勢から遅れたサイモンが、後方からきたパトリック・コンラート(@PatricKonrad/AUT/BORA – HANSGROHE)、ビルバオ、カラパスの集団に合流します。
その前方ではフルーム、デュムラン、ポッツォヴィーヴォも、ロペスから遅れたプールスと合流。
サイモンがビルバオたちからも遅れる前方では九十九折のカーブでプールスが曲がり切れず脱落。
サイモンはデュムラングループから28秒遅れで、さらに5秒後方でティボー・ピノ(@ThibautPinot/FRA/GROUPAMA FDJ)がフィニッシュしました。
第18ステージ:ステージ順位
大逃げが決まった第18ステージのトップ10は、全員逃げ集団の選手でした。
- マクシミリアン・シャッハマン(QUICK-STEP FLOORS):4:55:42
- ルーベン・プラサ(ISRAEL CYCLING ACADEMY):+0:10
- マッティーア・カッタネオ(ANDRONI GIOCATTOLI – SIDERMEC):+0:16
- クリストフ・フィングステン(BORA – HANSGROHE):+1:10
- マルコ・マルカート(UAE TEAM EMIRATES):+1:26
- ミケル・モルコフ(QUICK-STEP FLOORS):+1:36
- ビアチェスラフ・クズネツォフ(TEAM KATUSHA ALPECIN):+1:52
- ヨス・ファン・エムデン(TEAM LOTTO NL – JUMBO):+3:22
- アレックス・トゥリン(WILIER TRIESTINA – SELLE ITALIA):+3:29
- ダヴィデ・バッレリーニ(ANDRONI GIOCATTOLI – SIDERMEC):+5:09
10位のバッレリーニは一人旅だったようで、11位のロペスがゴールするまでは5分39秒かかっています。
逃げ集団にいた12人では、ファンポッペルが11分54秒差の28位、フォンツィが26分59秒差の140位でした。
第18ステージ終了時点の総合順位
サイモンのまさかの失速により、デュムランとのタイム差は一気に30秒を切ってきました。
- サイモン・イェーツ(MITCHELTON – SCOTT):75:06:24
- トム・デュムラン(Team Sunweb):+0:28
- ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(BAHRAIN – MERIDA):+2:43
- クリス・フルーム(Team Sky):+3:22
- ティボー・ピノ(GROUPAMA FDJ):+4:24
- ミゲル・アンヘル・ロペス(ASTANA PRO TEAM):+4:54
- ローハン・デニス(@RohanDennis/AUS/BMC Racing Team):+5:09
- ペリョ・ビルバオ(ASTANA PRO TEAM):+5:54
- リチャル・カラパス(MOVISTAR TEAM):+5:59
- パトリック・コンラート(BORA – HANSGROHE):+7:05
- 出走176選手/完走158選手/リタイア18選手(棄権7選手、途中棄権11選手)
- Maglia Rosa(総合首位)…サイモン・イェーツ(MITCHELTON – SCOTT):75:06:24
- Maglia Ciclamino(ポイント賞)… エリア・ヴィヴィアーニ(@eliaviviani/ITA/QUICK-STEP FLOORS):290ポイント
- Maglia Azzurra(山岳賞)…サイモン・イェーツ(MITCHELTON – SCOTT):91ポイント
- Maglia Bianca(新人賞)…ミゲル・アンヘル・ロペス(ASTANA PRO TEAM):+4:54
ステージ11位のロペスがサイモンとのタイム差を43秒縮め、総合6位に躍進。
マリア・ビアンカ争いをしているカラパスとの差も35秒広げました。
第19ステージ概要
第19ステージは1級山岳山頂フィニッシュの2日目、ステージ難度★★★★★、チーマコッピと、内容盛りだくさんのステージです。
1級山岳や山頂フィニッシュで大崩れする選手が比較的少なかった今大会の総合上位勢にも、大きな変動がみられるでしょうか。
- スタート:ヴェナリア・レアーレ
- フィニッシュ:バルドネッキア
- 総距離:185.0km
- 中間スプリントポイント:Sant’Antonino di Susa、Pragelato
- 補給地点:77km~80km地点
- 山岳:Colle del Lys(2級)、Sestriére(3級)、Bardonecchia(Jafferau)(1級)
- チーマコッピ(今大会の最高標高地点):Colle delle Finestre(標高2,178m)
- ステージ:上級山岳
- 開始時刻:11:40(日本時間18:40)
- ステージ難度:★★★★★
- 引用元:大会公式サイト内ステージ19コース紹介ページ
山岳ポイント3つとチーマ・コッピで、すべてを首位通過すると本日だけで102ポイントの山岳ポイントを獲得できる計算です。
アクチュアル・スタートから約50kmをかけて2級山岳・コッレ・デル・ルイスを上ります。
部分的に平均勾配7~8%の区間もあるものの、全体的な平均勾配は3%ほどです。
ドーラ・リパリアを下ったあとは中間スプリントポイント・サンタントニーノ・ディ・スーザを緩やかに上りながら通過し、残り90km地点のコッレ・デッレ・フィレストレの麓に向かいます。
平均勾配9.2%、最大勾配14%のこの峠は今大会のチーマ・コッピで標高2,178m。
コッレ・デッレ・フィレストレへの登坂ルート16.6kmのうち9kmは未舗装です。
総数45の九十九折りを曲がるとチーマ・コッピのゲートが見えてくるでしょう。
チーマ・コッピ到達後は休む間もなくテクニカルな下り坂をこなし、30kmのうちに中間スプリントポイント・プラジェラートと3級山岳・セストリエーレを通過します。
セストリエーレは最大勾配9%とはいえ平均勾配は3.8%のなだらかな上りで、プラジェラート周辺の勾配も4%ほどです。
セストリエーレ通過後は山間部の街・ウルクスまで一気に1,000mを下り、残り7kmはフィニッシュ地点・バルドネッキアに向けて一気に上ります。
平均勾配9.4%、最大勾配14%の上り坂が続き、目線の先は灰色の道と左右の木々のみで、道幅も沿道の観客との接触が怖いくらいの狭さです。
ラスト500mを切ったところで勾配12%の区間が登場し、ここだけでも数秒のタイム差ができるでしょう。
第19ステージレース展望
第18ステージを終えて、ますます総合争いがわからなくなった人も多いことでしょう。
第2週目を終えて「デュムランとサイモンが自滅しない限りはどっちかがマリア・ローザだろう」と思っていましたが、今まで好調ぶりを見せていたサイモンに陰りが見えました。
双子の弟・アダム(@AdamYates7)との替え玉疑惑まで浮上した第15ステージでは2分11秒つけていたデュムランとの差も、今や28秒に。
クイーン・ステージの称号こそ明日の第20ステージに譲るものの、チーマ・コッピの登坂ではたった18kmで約1700mを上り、最後の山頂フィニッシュもチーマ・コッピと似た勾配が続きます。
チーマ・コッピの後半は未舗装かつスイッチバックがいくつも続き、脚がない選手はすぐに置いて行かれるでしょう。
優秀なアシストの支えがあれば少しは耐えられるかもしれませんが、そのアシストだって大会終盤で疲労はピークに達しているはず。
ローマの表彰台でのマリア・ローザを目指すのであれば、1枚になってもライバルとのアタック合戦に耐えるだけの力が必要です。
サイモンを脅かすライバルのアシストとしては、デュムランのサム・オーメン(@SamOomen/NED/Team Sunweb)やピノのセバスチャン・ライヘンバッハ(@reichenbach_seb/SUI/GROUPAMA FDJ)、あとはここに名前を挙げる必要すらないほど活躍しているプールスなどが真っ先に浮かびます。
ポッツォヴィーヴォやロペス、カラパスなどは終盤になるとアシストを連れていないことが多く、残り2ステージでは終盤のアシストがどのように影響を及ぼすでしょうか。
3つの山岳とチーマ・コッピで盛りだくさんのジロ・デ・イタリア第19ステージは本日20:05からDAZNで生中継!
お見逃しなく!