【Giro d’Italia 2018】TAPPA15
こんにちは、スポーツライターのAkane(@akane_ikeno)です。
グランツールの一つジロ・デ・イタリア(Giro d’Italia)のコース紹介記事を毎日更新しています!
前日のレースの簡単な振り返りも行うので、レースを見逃した人はもちろん、レースを見た人もおさらいとしてご覧ください。
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第14ステージをプレイバック
モンテ・ゾンコランでの頂上フィニッシュとなった第14ステージを振り返りましょう!
第14ステージ:レース展開
第14ステージの逃げ集団は次の7選手。
- マッテーオ・モンタグーティ(@MontagutiMatteo/ITA/AG2R LA MONDIALE)
- フランチェスコ・ガヴァッツィ(@gavazzif/ITA/ANDRONI GIOCATTOLI – SIDERMEC)
- エンリーコ・バルビン(@barbenry/ITA/BARDIANI CSF)
- ローラン・ディディエ(@laurent_didier/LUX/TREK – SEGAFREDO)
- マッズ・ペデルセン(@Mads__Pedersen/DEN/TREK – SEGAFREDO)
- ヴァレリオ・コンティ(@valerioconti93/ITA/UAE TEAM EMIRATES)
- ヤコポ・モズカ(@SunJjak/ITA/WILIER TRIESTINA – SELLE ITALIA)
43.3km地点の3級山岳・モンテ・ディ・ラゴーニャはコンティ、ガヴァッツィ、バルビン、中間スプリントポイント・フォルガリーア・ネル・フリウーリはガヴァッツィ、モズカ、コンティの順で通過しました。
3級山岳・アヴァリオの手前で局所的な雨が降り、モンテ・ゾンコランの山中の天候が気になります。
アヴァリオ3km前でぺデルセンが逃げ集団からこぼれ落ち、集団は6人になりました。
そして、アヴァリオの2km手前の沿道にはローマ法王の姿も(※コスプレ)!
肝心のアヴァリオはモンタグーティが首位通過、コンティ、モズカが続きます。
残り75.8km地点で下りを利用して逃げ集団から遅れていたペデルセンが復活しました。
Team Skyが集団を牽引
この下りで逃げ集団から4分40秒後方のメイン集団を牽引するのは、クリス・フルーム(@chrisfroome/GBR)を擁するTeam Sky(@TeamSky)。
メイン集団のスピードはかなり上がり、縦長になって分断も見られるようになりました。
残り54kmでタイム差は6分ほどにまで広がります。
47.9km地点の2つ目の中間スプリントポイント・パウラーロはモズカが、43.5km地点の4km辺りで続くつ2級山岳・パッソ・デュロンはコンティが首位通過。
この頃にはペデルセンとモズカが逃げグループから、昨日のバッドデイでコンディションを心配されていたヨアン・エステバン・チャベス(@estecharu/COL/MITCHELTON – SCOTT)がメイン集団から遅れます。
残り42.5kmでルイス・レオン・サンチェス(@LLEONSANCHEZ/ESP/ASTANA PRO TEAM)がメカトラブル。
集団を牽引しようとしていた上りでストップしたため、痛いトラブルです。
その頃、逃げ集団からコンティが飛び出しますが、メイン集団とのタイム差は3分30秒ほどにまで縮まります。
残り35km地点辺りではテクニカルな下りカーブが続き、メイン集団が分断されました。
中にはガードレールすれすれでカーブを曲がる選手も。
3級山岳・セッラ・ヴァルカルダ・ラヴァスクレットはコンティ、バルビン、モンタグーティ、ディディエ、ガヴァッツィの順で通過し、この時点でのメイン集団とのタイムは差1分12秒。
10km下って、いよいよ1級山岳・モンテ・ゾンコランの起点・オヴァーロへ向かいます。
2011年のモンテ・ゾンコラン覇者・アントンが先頭に
先頭を逃げるバルビンとコンティが残り10kmのゲートを通過したとき、メイン集団とのタイム差は56秒。
メイン集団はASTANA PRO TEAM(@AstanaTeam)とBAHRAIN – MERIDA(@Bahrain_Merida)を先頭に、残り9.3km地点でモンタグーティとディディエを吸収します。
残り9kmを手前にメイン集団からイゴール・アントン(@IgorAntonH/ESP/TEAM DIMENSION DATA)がアタック。
アントンは2011年大会のモンテ・ゾンコランでフィニッシュした第14ステージで優勝している選手です。
残り7.8km地点でコンティから遅れたバルビンがアントンと合流し、2人で2位集団を形成する形になります。
総合上位勢では総合7位のローハン・デニス(@RohanDennis/AUS/BMC Racing Team)が遅れ始めました。
残り7kmを手前にアントンはそのままコンティを追い抜き、コンティがアントンの後ろにつく形で激坂を上ります。
ラスト7kmを切るとウァウテル・プールス(@WoutPoels/NED/Team Sky)がメイン集団を引っ張り始めました。
トム・デュムラン(@tom_dumoulin/NED/Team Sunweb)やファビオ・アル(@FabioAru1/ITA/UAE TEAM EMIRATES)が集団から遅れ始める一方、メイン集団から抜けたマイケル・ウッズ(@rusty_woods/CAN/TEAM EF EDUCATION FIRST)が残り6.6km時点でアントンとコンティを吸収します。
残り5.7kmでプールス、フルーム、サイモン・イェーツ(@SimonYatess/GBR/MITCHELTON – SCOTT)らがウッズを捉え、一気に抜きました。
デュムランは巻き返しを図るものの、アルはどんどん遅れていきます。
リチャル・カラパス(@RichardCarapazM/ECU/MOVISTAR TEAM)がメイン集団から遅れ、集団に残っているミゲル・アンヘル・ロペス(@SupermanlopezN/COL/ASTANA PRO TEAM)にマリア・ビアンカを明け渡す可能性が浮上。
Team Skyがグランツールでの本領発揮
プールスがペースを上げたのが残り5.2km地点。
サイモン、ロペス、デュムラン、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(@pozzovivod/ITA/BAHRAIN – MERIDA)ら総合上位勢はこのペースアップに対応しました。
ティボー・ピノ(@ThibautPinot/FRA/GROUPAMA FDJ)はセバスチャン・ライヘンバッハ(@reichenbach_seb/SUI/GROUPAMA FDJ)をアシストとして連れているものの、前にいるのはピノ。
残り4kmを手前にプールスとライヘンバッハが仕事を終えて集団から離れました。
そのとたんにフルームが飛び出し、ロペス、ポッツォヴィーヴォ、サイモンが追走します。
デュムランとピノは反応できず、3人の後ろです。
サイモンが引く追走集団とフルームのタイム差は残り3km地点で15秒、デュムランとピノの5位集団とフルームのタイム差は27秒です。
このタイミングでサイモンがペースを上げ、ロペスとポートフォリオを置き去りにし、フルームとの差を徐々に詰めます。
その後方ではポッツォヴィーヴォが遅れ、ロペスが単独3位となってサイモンとフルームを追い始めました。
フルームがトップでフラム・ルージュを通過、サイモンとのタイム差は7秒にまで縮まりました。
この辺りからトンネルが3つ続くコースになるとともに、雨も強くなります。
最後の上りをフルームが座ってペダルをこぐ中、サイモンがダンシングで一気にフルームに迫ります。
しかし最後までサイモンに追いつかせることなく、フルームが復活のステージ優勝となりました。
第14ステージ:ステージ順位
第13ステージ終了時に総合12位のフルームがステージ優勝、11位のロペスが4位と健闘。
- クリス・フルーム(Team Sky):5:25:31
- サイモン・イェーツ(MITCHELTON – SCOTT):+0:06
- ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(BAHRAIN – MERIDA):+0:23
- ミゲル・アンヘル・ロペス(ASTANA PRO TEAM):+0:25
- トム・デュムラン(Team Sunweb):+0:37
- ティボー・ピノ(GROUPAMA FDJ):+0:42
- ウァウテル・プールス(Team Sky):+1:07
- セバスチャン・ライヘンバッハ(GROUPAMA FDJ):+1:19
- ペリョ・ビルバオ(@PelloBilbao1990/ESP/ASTANA PRO TEAM):+1:35
- マイケル・ウッズ(TEAM EF EDUCATION FIRST):+1:43
アルやデニスなどの上位陣がタイムを大きく失いました。
第14ステージ終了時点の総合順位
総合順位では、サイモンがデュムランとのタイム差を1分24秒にまで広げました。
- サイモン・イェーツ(MITCHELTON – SCOTT):61:19:51
- トム・デュムラン(@tom_dumoulin/NED/Team Sunweb):+1:24
- ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(BAHRAIN – MERIDA):+1:37
- ティボー・ピノ(GROUPAMA FDJ):+1:46
- クリス・フルーム(Team Sky):+3:10
- ミゲル・アンヘル・ロペス(ASTANA PRO TEAM):+3:42
- リチャル・カラパス(MOVISTAR TEAM):+3:56
- ジョージ・ベネット(@georgenbennett/NZL/TEAM LOTTO NL – JUMBO):+4:04
- ペリョ・ビルバオ(ASTANA PRO TEAM):+4:29
- パトリック・コンラート(@PatricKonrad/AUT/BORA – HANSGROHE):+4:43
- 出走176選手/完走166選手/リタイア10選手(棄権5選手、途中棄権5選手)
- Maglia Rosa(総合首位)…サイモン・イェーツ(MITCHELTON – SCOTT):61:19:51
- Maglia Ciclamino(ポイント賞)… エリア・ヴィヴィアーニ(@eliaviviani/ITA/QUICK-STEP FLOORS):237ポイント
- Maglia Azzurra(山岳賞)…サイモン・イェーツ(MITCHELTON – SCOTT):76ポイント
- Maglia Bianca(新人賞)… ミゲル・アンヘル・ロペス(ASTANA PRO TEAM):+0:25
4位ピノと5位フルームのタイム差が1分24秒ですが、上位4選手と5位以降のシャッフルも見どころです。
4賞ジャージでは新人賞がカラパスからロペスへ交代し、いよいよマリア・ビアンカ大本命が白ジャージに袖を通しました。
第4ステージ優勝のティム・ウェレンス(@Tim_Wellens/BEL/LOTTO FIX ALL)とトーマス・スカリ(@tomscullytwiter/NZL/TEAM EF EDUCATION FIRST)が未出走で大会を後にしました。
第15ステージ概要
第15ステージはモンテ・ゾンコランの影に隠れてしまいがちですが、山岳4つを含むステージ難度★★★★。
後半60kmで2級山岳3つを越えるなど、休息日前とはいえかなりタフなコースです。
- スタート:トルメッツォ
- フィニッシュ:サッパーダ
- 総距離:176.0km
- 中間スプリントポイント:Valle di Cadore、Cortina D’Ampezzo
- 補給地点:77km~80km地点
- 山岳:Passo della Mauria(3級)、Passo tre Croci、Passo di Sant’Antonio、Costalissoio(Bosco dei Giavi)(以上2級)
- ステージ:上級山岳
- 開始時刻:12:15(日本時間19:15)
- ステージ難度:★★★★☆
- 引用元:大会公式サイト内ステージ15コース紹介ページ
スタート地点のトルメッツォからフィニッシュ地点のサッパーダまで、逆コの字状に地方幹線道路355線(マップ中水色のライン)を迂回します。
第15ステージはドロミテをひたすら上ったり下りたりするコース。
高度表を見ていただければ一目瞭然ですが、本当に息つく暇もありません。
このステージ最初にして最後の3級山岳・パッソ・デッラ・マウリアはアクチュアル・スタートから約1,000mを上った48kmを過ぎたところで登場します。
平均勾配4.4%の坂が約9kmにわたって続くこの山岳は、昨日の疲労を引きずらずに集団内で留まりたいところ。
パッソ・デッラ・マウリアを下った後に登場する最初の中間スプリントポイントが、ヴァッレ・ディ・カドーレ。
山間部の谷間を通る国道51号線をなぞって補給地点を通過しながら再び緩やかに上り始めます。
最初の2級山岳・パッソ・トレ・クローチの麓にあるもう一つの中間スプリントポイントがコルティナ・ダンペッツォです。
平均勾配約7%、最大勾配12%の坂が約8km続きます。
この8kmでは約600mを上り、山岳ポイント通過後は約30kmでおよそ950mを一気に下るので、ダウンヒルのスキルも必要になりそうです。
下りきった残り40kmを切った辺りから、2級山岳・パッソ・ディ・サン・アントニオが始まり、再び8kmで約600mを上ります。
平均勾配9.9%の区間が約3kmにわたって続くので、メイン集団からの脱落者が続出しそうです。
パッソ・ディ・サン・アントニオの山岳ポイント通過後は15kmでまた大きくアップダウンするコースが続きます。
500m下ったかと思えばすぐに350mを上り、今ステージ最後の2級山岳・コスタリッソイオへ。
勾配がきつい区間は短めですが、最大勾配14%の坂がモンテ・ゾンコランを終えたばかりの選手の脚をとことんいたぶります。
ラスト10kmを切るとフィニッシュ地点の街・サッパーダに向けて緩やかに上り始めます。
平均勾配3.24%と緩やかな坂が続き、いかにもアルプス山中らしい街並みへ。
ラスト8.5kmから地方幹線道路355号線に入り、道なりに一本道を進みます。
フラム・ルージュはコの字カーブが始まる手前にあり、このコーナリングがフィニッシュ順位を決定づける上でのポイントになりそうです。
最後のストレート450mはほぼ平坦なので、ラスト勝負になった場合はスプリントできる余力が残っているかどうかがカギになります。
第15ステージレース展望
休息日前日の第15ステージ。
モンテ・ゾンコランの疲労を引きずる中でのステージになるため、総合上位勢はあまり大きく動かなそう。
とはいえ、休息日前日ということで1分以上の差をサイモンやデュムラン、ポッツォヴィーヴォやピノに対して詰めたいフルーム以降の総合を狙う選手はラストで仕掛けたりするかも。
激戦の翌日ということで、どれだけ疲労回復できたかがフィニッシュのタイム差数秒で可視化できそうです。
さらに言えば、この数秒のタイム差は休息日明けの山岳ステージラッシュの未来を占う判断材料になり得るでしょう。
そんなジロ・デ・イタリア第15ステージは本日20:05からDAZNで生中継!
お見逃しなく!