【Giro d’Italia 2018】TAPPA09
こんにちは、スポーツライターのAkane(@akane_ikeno)です。
グランツールの一つジロ・デ・イタリア(Giro d’Italia)のコース紹介記事を毎日更新しています!
前日のレースの簡単な振り返りも行うので、レースを見逃した人はもちろん、レースを見た人もおさらいとしてご覧ください。
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第8ステージプレイバック
101年の歴史に新たな1ページが誕生した昨日の第8ステージを振り返りましょう!
【Giro d’Italia 2018】TAPPA08
第8ステージ:レース展開
第8ステージの逃げ集団は7名。
- マッテーオ・モンタグーティ(@MontagutiMatteo/ITA/AG2R LA MONDIALE)
- ロドルフォ・トレス(@rodotorres1987/COL/ANDRONI GIOCATTOLI – SIDERMEC)
- ダヴィデ・ヴィッレッラ(@Davide_villella/ITA/ASTANA PRO TEAM)
- マテイ・モホリッチ(@matmohoric/SLO/BAHRAIN – MERIDA)
- トッシュ・ヴァンデルザンデ(@Toshvds/BEL/LOTTO FIX ALL)
- クーン・ボーマン(@koenbouwman/NED/TEAM LOTTO NL – JUMBO)
- ヤン・ポランツェ(@PolancJan/SLO/UAE TEAM EMIRATES)
逃げ集団とメイン集団の差は、最大6分近くにまで広がります。
最初の中間スプリントポイント・アグロポリはトレスに首位を譲り、モンタグーティ、ボーマンの順でゲートを通過。
次の中間スプリント地点・サレルノまでに逃げ集団とメイン集団の差は5分3秒まで縮めます。
ここの通過順位はヴァンデルサンデ、トレス、モホリッチがトップ3です。
逃げ集団、今大会最初の逃げ切り成功と思われたものの…
ステージの途中からゴール地点で雨予報がありましたが、残り40kmを逃げ集団が切ってもなお雨は降っていました。
この頃の逃げ集団とメイン集団の差は4分46秒と縮まっておらず、メイン集団が逃げ切りを容認した雰囲気が漂います。
ラスト23.8km地点では集団の戦闘がMITCHELTON – SCOTT(@MitcheltonSCOTT)からトニー・マルティン(@tonymartin85/GER/ TEAM KATUSHA ALPECIN)に代わって一気にスピードを上げ、21.5km地点で逃げ集団とのタイム差は3分を切ります。
このあたりから雨の影響で路面の濡れも確認できるようになりました。
残り17.1kmで逃げ集団は2級山岳・モンテヴェルジネ・ディ・メルコリアーノへの上りを開始。
その3km後にタイム差はおよそ1分30秒となり、モホリッチが逃げ集団から飛び出したものの、逃げは失敗に終わります。
スイッチバックが目前に迫ると逃げ集団もばらけ始め、先頭はボーマン、モンタグーティ、モホリッチ、ポランツェの4人に絞られました。
ヴィッレッラ、トレス、ヴァンデルサンデが遅れ、トレスはメイン集団に吸収されます。
追うメイン集団、残り5kmでフルーム落車!
残り8kmでヴァンデルサンデが、残り7km地点でヴィッレッラがメイン集団に吸収されました。
メイン集団はかなり縦長にはなっているものの、MITCHELTON – SCOTTが先頭で率い、依然として大人数です。
残り5km地点手前でクリス・フルーム(@chrisfroome/GBR/Team Sky)が落車。
ウァウテル・プールス(@WoutPoels/NED/Team Sky)に引っ張られながら集団復帰を目指しますが、必要以上に脚を使ってしまうことに。
メイン集団が残り4.7km通過した時点で逃げの4人とのタイム差が30秒になりました。
フルームは4km手前でなんとか集団に復帰します。
残り3.8km地点でボーマンがアタック。
モホリッチ、モンタグーティ、ポランツェはついていけません。
ステージ優勝は101回目にして初の快挙!
残り3km地点でTeam Sky(@TeamSky)がメイン集団の先頭で引き始めます。
2.6km地点でモホリッチが集団に吸収されました。
ボーマンの後ろからはモンタグーティが執念で迫ってきていますが、集団との差が16秒となりポランツェの吸収は時間の問題に。
残り2kmを切ったところで雨が一気に強くなりました。
1.5km地点でアレクサンドル・ジェニエス(@AlexGeniez/FRA/AG2R LA MONDIALE)がアタックを仕掛け、モンタグーティを追い抜きます。
リチャル・カラパス(@RichardCarapazM/ECU/MOVISTAR TEAM)が追走し、フラム・ルージュを前に2人を抜いて先頭に。
モンタグーティ、ジェニエス、ボーマンを吸収した集団からティボー・ピノ(@ThibautPinot/FRA/GROUPAMA FDJ)、パトリック・コンラート(@PatricKonrad/AUT/BORA – HANSGROHE)、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(@pozzovivod/ITA/BAHRAIN – MERIDA)、ディエゴ・ウリッシ(@DiegoUlissi/ITA/UAE TEAM EMIRATES)が飛び出し、ボーナスポイントをかけてアタックします。
カラパスは雨をものともしない走りで、見事ステージ優勝。
総合11位からのジャンプアップはもちろんのこと、新人賞争いでも2位以降に大きく差をつけます。
2位争いは熾烈で、ダヴィデ・フォルモロ(@davideformolo /ITA/BORA – HANSGROHE)、ピノ、エンリーコ・バッタリーン(@enricobattaglin/ITA/TEAM LOTTO NL – JUMBO)の順にゴールしました。
第8ステージ:ステージ順位
カラパスがグランツール初優勝。
エクアドル人選手のジロステージ優勝は34か国目ということで、カラパス個人としてもジロとしても初の快挙となりました。
- リチャル・カラパス(MOVISTAR TEAM):5:11:35
- ダヴィデ・フォルモロ(BORA – HANSGROHE):+0:07
- ティボー・ピノ(GROUPAMA FDJ):+0:07
- エンリーコ・バッタリーン(TEAM LOTTO NL – JUMBO):+0:07
- サイモン・イェーツ(@SimonYatess/GBR/MITCHELTON – SCOTT):+0:07
- ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(BAHRAIN – MERIDA):+0:07
- ヨアン・エステバン・チャベス(@estecharu/COL/MITCHELTON – SCOTT):+0:07
- パトリック・コンラート(BORA – HANSGROHE):+0:07
- マイケル・ウッズ(@rusty_woods/CAN/TEAM EF EDUCATION FIRST):+0:07
- ペリョ・ビルバオ(@PelloBilbao1990/ESP/ASTANA PRO TEAM):+0:07
カラパスはもちろんのこと、ピノ、ポッツォヴィーヴォ、サイモン、チャベス、ビルバオといった総合上位勢が2位以降のタイム差なしとはいえ、多くトップ10につけています。
第8ステージ終了時点の総合順位
総合トップ10では、総合11だったカラパスが総合8位にジャンプアップし、10位だったファビオ・アル(@FabioAru1/ITA/UAE TEAM EMIRATES)が総合11位に。
アルとサイモンのタイム差は変わらず1分12秒のままです。
- サイモン・イェーツ(MITCHELTON – SCOTT):31:43:12
- トム・デュムラン(@tom_dumoulin/NED/Team Sunweb):+0:16
- ヨアン・エステバン・チャベス(MITCHELTON – SCOTT):+0:26
- ティボー・ピノ(GROUPAMA FDJ):+0:41
- ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(BAHRAIN – MERIDA):+0:43
- ローハン・デニス(@RohanDennis/AUS/BMC Racing Team):+0:53
- ペリョ・ビルバオ(ASTANA PRO TEAM):+1:03
- リチャル・カラパス(MOVISTAR TEAM):+1:06
- クリス・フルーム(Team Sky):+1:10
- ジョージ・ベネット(@georgenbennett/NZL/TEAM LOTTO NL – JUMBO):+1:11
- 出走176選手/完走171選手/リタイア5選手(棄権2選手、途中棄権3選手)
- Maglia Rosa(総合首位)…サイモン・イェーツ(MITCHELTON – SCOTT):31:43:12
- Maglia Ciclamino(ポイント賞)… エリア・ヴィヴィアーニ(@eliaviviani/ITA/QUICK-STEP FLOORS):178ポイント
- Maglia Azzurra(山岳賞)…ヨアン・エステバン・チャベス(MITCHELTON – SCOTT):35ポイント
- Maglia Bianca(新人賞)… リチャル・カラパス(MOVISTAR TEAM):+1:03
ピノがステージ3位でボーナスポイント4秒を獲得したため、ポッツォヴィーヴォを逆転して総合4位に浮上しています。
第9ステージ概要
いよいよ今大会の前半戦最大のハイライト・第9ステージです。
休息日前ということもあり、白熱の展開が予想されます。
- スタート:ペスコ・サンニータ
- フィニッシュ:グランサッソ・ディタリア
- 総距離:225.0km
- 中間スプリントポイント:Popoli、Bussi sul Tirino
- 補給地点:96km~99km地点
- 山岳:Roccaraso(2級)、Calascio、Gran sasso d’Italia(以上1級)
- ステージ:中級山岳
- 開始時刻:11:00(日本時間18:00)
- ステージ難度:★★★☆☆
- 引用元:大会公式サイト内ステージ09コース紹介ページ
シチリア島・エトナの第6ステージ、昨日の第8ステージに続く3回目の山頂フィニッシュは、「イタリアの背骨」とも言われるアペニン山脈のグラン・サッソ。
ルートプレゼンテーションで標高2,135mのこの山の名前が出たとき、3つの驚きがあったと思います。
1つ目は225kmの長旅のフィナーレがグラン・サッソであること、2つ目ははグラン・サッソがチーマ・コッピ(今大会の最高標高地点)ではないこと、そして最後はこのステージの難度が★★★であること。
最初の100kmは中間スプリントや山岳もなく徐々に標高を上げていきます。
100km地点を過ぎてすぐからの2級山岳・ロッカラーゾへの登坂を皮切りに、中間スプリントポイント2つ、1級山岳・カラーショ、同じく1級山岳・グラン・サッソでの山頂フィニッシュと、後半にイベントが凝縮されたコース編成です。
ロッカラーゾは2級山岳ですが、平均勾配6.1%、最高勾配12%の約7kmで約500mを一気に駆け上がります。
このあとの1級山岳に備えて山岳ジャージを狙う選手以外は温存になりそうです。
ロッカラーゾのあとは残り105.6km地点のアルトピアーノ・デッレ・チンクエミリアから山間部の谷間を縫うように約40kmで1,000mを今度は下り、中間スプリントポイントのポーポリにたどり着きます。
ポーポリから次の中間スプリントポイント・ブッシ・スル・ティリーノまでは6.4kmしかなく、ポーポリ~ブッシ・スル・ティリーノ間は上りです。
そのため、ダウンヒルもできるパンチャーやスプリンターなら40ポイントの大量獲得も見えてきます。
カラーショ、グラン・サッソの2つの1級山岳は約45kmの1つの山岳として考えたほうがよさそうです。
単純に考えて、アルトピアーノ・デッレ・チンクエミリア~ポーポリで一気に下った距離を使って、標高が倍の山頂まで駆け上がるということになります。
「1つの山岳として考える」と言いつつ分けて考えると勾配がきついのはカラーショで、約12kmの上りの平均勾配は6.3%です。
カラーショを超えると約4kmは平坦な道になるのでそこで息を整え、いよいよグラン・サッソへ。
ラスト4.5kmまでは平均勾配3.9%の坂が続きますが、4.5kmを境に平均勾配8.2%の激坂に変貌します。
アペニン山脈の美しい自然に目を向ける暇もなく、細かいカーブも急に増えるので終わりが見えません。
残り3km~2.5km地点は平均勾配10%をマークし、グラン・サッソの最高勾配13%を記録する地点はフラム・ルージュの目の前。
ラスト500mの平均勾配も8.2%ある坂を上りきり、カトリック教会付近でフィニッシュです。
ロッカラーゾやポーポリへのダウンヒルなど、要所要所でマリア・ローザ争いからの脱落者が出場するでしょう。
第9ステージレース展望
今大会の総合優勝者のふるい分け試験の第一関門となるのが、今日の第9ステージ。
ステージ難度★★★となってはいるものの、実質の難度は間違いなくそれ以上です。
山岳ポイント、中間スプリントすべてがステージ中盤以降に設定されていることから、前半のメイン集団は大きな変化はないでしょう。
逃げ集団は第8ステージのような総合争いに大きく関与しない選手で形成されることが予想され、第6ステージのチャベスのようなことにはならないはず。
総合勢では第8ステージを見ていてもMITCHELTON – SCOTTはアシスト含むチームとしての働きはばっちり。
もちろんグラン・サッソで第8ステージと同じ働きができるとは限りませんが、ダブルエースにプラス2、3人のアシストを残してグラン・サッソに挑むこともできそうです。
逆に心配なのは、グランツール3冠を目指すフルーム。
第1ステージの試走に続き、第8ステージでも雨に濡れた路面で落車しました。
集団に復帰しタイムロスこそなかったものの、必要以上に脚を使ったことや度重なる落車による心理的ストレスは、第9ステージを考えると小さいダメージとは言えません。
ツール、ブエルタに次ぐ最後のピースの獲得のためにも、プールスのような優秀な山岳アシストにリードしてもらい、1分10秒あるサイモンとのタイム差を少しでも縮めたいところ。
ジロ・デ・イタリア第9ステージは本日20:05からDAZNで生中継!
前半戦のハイライトとなる第9ステージをお見逃しなく!