【Giro d’Italia 2018】TAPPA06
こんにちは、スポーツライターのAkane(@akane_ikeno)です。
グランツールの一つジロ・デ・イタリア(Giro d’Italia)のコース紹介記事を毎日更新しています!
前日のレースの簡単な振り返りも行うので、レースを見逃した人はもちろん、レースを見た人もおさらいとしてご覧ください。
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第5ステージをプレイバック
イタリアに到着してから、イタリア人選手のステージ初優勝となった昨日の第5ステージを振り返りましょう!
第5ステージ:レース展開
第6ステージ・エトナの山頂フィニッシュに備えた温存が予想された中、やはりアクチュアル・スタート直後にあっさり逃げ集団は形成されました。
第5ステージの逃げはアンドレーア・ヴェンドラーメ(ITA/ANDRONI GIOCATTOLI – SIDERMEC)、ローラン・ディディエ(@laurent_didier/LUX/TREK – SEGAFREDO)、ライアン・ミューレン(@ryanmullen9/IRL/TREK – SEGAFREDO)、エウゲルト・ズパ(@eugertzhupa/ALB/WILIER TRIESTINA – SELLE ITALIA)の4人。
2つ目の中間スプリント地点までは大きな変動はなし
75.2km地点のメンフィまで大勢は変わらず、メンフィに逃げ集団が入った時点でのメイン集団とのタイム差は3分24秒でした。
第5ステージで3つある4級山岳の1つ目・サンタ・マルゲリータ・ベーリチェはミューレン、ズパ、ヴェンドラーメ、ディディエの順で通過。
メイン集団がゲートを通過した時点で逃げ集団とのタイム差は3分10秒でした。
その3.4km後の中間スプリントポイント・モンテヴァーゴはヴェンドラーメ、ズパ、ミューレン、ディディエの順で通過。
5位まで中間スプリントポイントの加算対象のため、マリア・チクラミーノを着たエリア・ヴィヴィアーニ(@eliaviviani/ITA/QUICK-STEP FLOORS)がメイン集団から飛び出し、1ポイントを獲得して集団に戻りました。
2つ目の4級山岳・パルタンナはミューレン、ディディエ、ズパ、ヴェンドラーメの順でポイントを通過し、次の中間スプリントポイント・ポッジョレアーレに向かって下ります。
その後方・ラスト40.5km地点、パルタンナを過ぎた直後の道幅の広いヘアピンカーブで落車が発生。
クレモン・ヴァントゥリニ(@ClemVenturini/FRA/AG2R LA MONDIALE)が最初に落車し、ヴァントゥリニのバイクのタイヤが引っかかってフランソワ・ビダール(@FrancoisBidard/FRA/AG2R LA MONDIALE)は自転車から降りたようです。
ヴァントゥリニとどっちが先だったか定かではありませんが、近くにいたダヴィデ・バッレリーニ(@ballero_94/ITA/ANDRONI GIOCATTOLI – SIDERMEC)も足を停めていました。
ポッジョレアーレの中間スプリントポイントはヴェンドラーメ、ズパ、ディディエ、ミューレンの順で通過し、ラスト24.6kmのこの時点でメイン集団に2分差をつけて最後の4級山岳に向かいます。
ここの1ポイントはヴィクトール・カンペナールツ(@VCampenaerts/BEL/LOTTO FIX ALL)が獲得。
ヘアピンカーブで落車が多発した第5ステージ
中間スプリント地点通過1kmもたたないうちにディディエがアタックを仕掛け、ヴェンドラーメとズパが追いました。
一度ミューレンは追わなかったものの、残り22.3kmで3人に再び合流。
ミューレンが合流した後、今度はヴェンドラーメがアタックを仕掛け、ポッジョレアーレ・ヴェッキアの山岳ポイント3点を獲得。
後続はディディエ、ズパの順でゲートを通過し、ミューレンは2人からも後れを取って残り19km地点で集団に吸収されました。
ディディエとズパも残り14.3km地点で吸収され、この時点で集団とヴェンドラーメの差は58秒です。
残り13.7km地点、またしてもヘアピンカーブで大規模落車が発生。
ヤン・ヒルト(@HirtJan/CZE/ASTANA PRO TEAM)、ルーベン・プラサ(ESP/ISRAEL CYCLING ACADEMY)、ルーベン・フェルナンデス(@rubenfa/ESP/MOVISTAR TEAM)辺りが落車した主な選手です。
4賞ジャージの選手ではヴィヴィアーニとマリア・ビアンカのマクシミリアン・シャッハマン(@MaxSchachmann/GER/QUICK-STEP FLOORS)が落車の影響で詰まったのか、集団から遅れます。
また、残り6.1km地点で大会前は新人賞大本命だったミゲル・アンヘル・ロペス(@SupermanlopezN/COL/ASTANA PRO TEAM)が草むらに突っ込んで単独落車。
結局このステージで43秒首位から遅れ、総合ではローハン・デニス(@RohanDennis/AUS/BMC Racing Team)に1分57秒差となりました。
総合上位勢では7位につけているドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(@pozzovivod/ITA/BAHRAIN – MERIDA)が落車したか巻き込まれたかで大きく遅れましたが、マヌエレ・ボアロ(@BoaroManuele/ITA)、ニッコロ・ボニファジオ(@Bonifazio_993/ITA)、ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(@giovisco/ITA)らのアシストによって集団に復帰しました。
ラストは地元・イタリア勢によるステージ争い
150km逃げ続けたヴェンドラーメも残り3kmで吸収され、フラム・ルージュ手前の最高勾配12%の地点を含む勾配8%越えの坂で集団がばらつき始め、ラスト1kmはディエゴ・ウリッシ(@DiegoUlissi/ITA/UAE TEAM EMIRATES)が先頭で通過。
ウリッシはすぐに下がったものの、チームのエース・ファビオ・アル(@FabioAru1/ITA/UAE TEAM EMIRATES)がアタックを仕掛けます。
アルのアタックは上手くいかず、そのあとはヴィスコンティが先頭に。
直角カーブを2つ曲がった後の最後の直線でエンリーコ・バッタリーン(@enricobattaglin/ITA/TEAM LOTTO NL – JUMBO)が仕掛け、そのままステージ優勝を飾りました。
第5ステージ:ステージ順位
今大会では第2・第3ステージで連勝したヴィヴィアーニに次ぐ2人目の地元・イタリア勢であるバッタリーンがステージ優勝しました。
- エンリーコ・バッタリーン(TEAM LOTTO NL – JUMBO):4:06:33
- ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(BAHRAIN – MERIDA):+0:00
- ホセ・ゴンサルヴェス(@josegoncalvesim/POR/ TEAM KATUSHA ALPECIN):+0:00
- マクシミリアン・シャッハマン(QUICK-STEP FLOORS):+0:00
- サイモン・イェーツ(@SimonYatess/GBR/MITCHELTON – SCOTT):+0:00
- ティム・ウェレンス(@Tim_Wellens/BEL/LOTTO FIX ALL):+0:00
- フランチェスコ・ガヴァッツィ(@gavazzif/ITA/ANDRONI GIOCATTOLI – SIDERMEC):+0:00
- マウリツ・ラメルティンク(@lammertinkm/NED/ TEAM KATUSHA ALPECIN):+0:00
- ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(BAHRAIN – MERIDA):+0:00
- パトリック・コンラート(@PatricKonrad/AUT/BORA – HANSGROHE):+0:00
バッタリーン(3位)、サイモン(4位)、ウェレンス(1位)、ポッツォヴィーヴォ(9位)、コンラート(7位)は第4ステージに引き続き、ステージトップ10をキープしました。
第5ステージ終了時点の総合順位
総合勢はステージ3位のゴンサルヴェスがトップ10に返り咲いた以外の顔ぶれは、第4ステージと同じです。
- ローハン・デニス(BMC Racing Team):18:29:41
- トム・デュムラン(@tom_dumoulin/NED/Team Sunweb):+0:01
- サイモン・イェーツ(MITCHELTON – SCOTT):+0:17
- ティム・ウェレンス(LOTTO FIX ALL):+0:19
- ペリョ・ビルバオ(@PelloBilbao1990/ESP/ASTANA PRO TEAM):+0:25
- マクシミリアン・シャッハマン(QUICK-STEP FLOORS):+0:28
- ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(BAHRAIN – MERIDA):+0:28
- ホセ・ゴンサルヴェス(TEAM KATUSHA ALPECIN):+0:32
- ティボー・ピノ(@ThibautPinot/FRA/GROUPAMA FDJ):+0:34
- パトリック・コンラート(BORA – HANSGROHE):+0:35
- 出走176選手/完走173選手/リタイア3選手(棄権1選手、途中棄権2選手)
- Maglia Rosa(総合首位)…ローハン・デニス(BMC Racing Team):18:29:41
- Maglia Ciclamino(ポイント賞)… エリア・ヴィヴィアーニ(QUICK-STEP FLOORS):130ポイント
- Maglia Azzurra(山岳賞)…エンリーコ・バルビン(@barbenry/ITA/BARDIANI CSF):11ポイント
- Maglia Bianca(新人賞)… マクシミリアン・シャッハマン(QUICK-STEP FLOORS):+0:28
4賞ジャージはそのまま、第5ステージは逃げなかったバルビンもマリア・アッズーラをキープしました。
ガイ・ニヴ(ISR/ISRAEL CYCLING ACADEMY)が途中棄権し、エトナに挑む選手は173名となっています。
第6ステージ概要
3日間のシチリア島でのステージも本日が最後。
今まで海沿いでレースを繰り広げた今大会のシチリア島において唯一の完全内陸ステージになります。
フィニッシュ地点は昨年も登場した活火山・エトナ。
- スタート:カルタニセッタ
- フィニッシュ:エトナ
- 総距離:164.0km
- 中間スプリントポイント:Enna、Piazza Armerina
- 補給地点:97km~100km地点
- 山岳:Etna(1級)
- ステージ:山岳
- 開始時刻:12:50(日本時間19:50)
- ステージ難度:★★★★☆
- 引用元:大会公式サイト内ステージ06コース紹介ページ
エトナは1967年大会で初登場して以来、1989年、2011年、2017年の4回フィニッシュ地点としてジロに登場しています。
今大会は5回目ですが、カルタニセッタ~エトナのコースは初登場(20世紀の2回はカターニアがスタート地点、2011年大会はメッシーナがスタート地点)。
過去4回ではリフージオ・サピエンツァもしくはその近くにフィニッシュ地点が置かれていましたが、今回は初登場となるコースが起用されます。
ちなみに昨年エトナが登場した第4ステージでは、ヤン・ポランツェ(@PolancJan/SLO/UAE TEAM EMIRATES)が全長181km中179kmの逃げを決め、18kmの独走の末にステージ優勝しました。
そのポランツェは今大会でもエトナに挑みます。
シチリア島のど真ん中に位置するカルタニセッタから、イタリア本土へ向かうように北島方面へ進みます。
エトナの麓までは、昨日までのシチリアステージと同様にアップダウンの激しい、曲がり角の多いコースです。
中間スプリントポイントのエンナからもう一つの中間スプリントポイントであるピアッツァ・アルメリーナに向かう道も、この地図以上に細かいカーブが多くて気が休まりません。
この第6ステージが今大会最初の頂上ゴールです。
エトナの上りに入ってからはほぼ道なりで細かいカーブはほぼなくなるものの、ラスト40kmから少しの下りを除いて、平均勾配約6.5%の坂を上り続けます。
エトナに入ってからは道幅も狭くなって勾配もかなりきつく、ここまでエースを引っ張ったアシスト陣にもちぎれる人が続出しそうです。
ラスト10km地点に勾配15%、ラスト5km手前で勾配14%の坂が登場するなど、最後の最後まで選手を苦しめます。
遠くからも坂が見えて少しずつ地平線が高くなっていく光景は、イタリア本土に入る前最大のハイライトになるでしょう。
ゴール1.5km手前からは平均勾配4.4%になるものの、相変わらず道幅は狭いまま。
左手に小さな教会が見えるといよいよゴールは目の前です。
少し左に膨れてカーブを曲がれば目の前にフィニッシュラインが見えます。
1級山岳・エトナでのフィニッシュということで山岳賞狙いの選手が来るか、それともここでタイム差を稼ぎたい総合勢が来るか…。
どちらにせよ、総合順位が大きく変動しそうなコースです。
第6ステージレース展望
第101回ジロ・デ・イタリア最大の山場の一つが、今ステージのフィニッシュ地点であるヨーロッパ最大の活火山・エトナ。
「エトナがあるから」と温存し続けた総合勢も、いよいよ出番です。
注目はもちろん総合勢。
「デニスがイタリア本土でもマリア・ローザを着用できるのか」というのはもちろん、総合優勝を狙う選手をふるいにかけるステージになります。
ふるいにかけて候補を減らすだけではなく、思いがけない台風の目の登場もあるかもしれません。
特に注目したいのは、第5ステージ終了時点でマリア・ローザから55秒遠くにいるクリス・フルーム(@chrisfroome/GBR/Team Sky)。
フルームの実力をもってすれば、エトナの後もまだ15ステージあるので55秒差はまだ挽回可能に思えますが、1日でさらに55秒開いてもおかしくないステージが続々登場するため、取れるアドバンテージは取っておきたいところ。
昨年のブエルタ・ア・エスパーニャ第20ステージでフルームを最後まで一人でアシストしたウァウト・ポエルス(@WoutPoels/NED/Team Sky)がアングリル同様の献身をすればマリア・ローザが一気に射程圏内に入るかもしれません。
また、今大会好調のサイモン率いるMITCHELTON – SCOTT(@MitcheltonSCOTT)も要注目です。
サイモンもダブルエースの扱いを受けているものの、メインはあくまでヨアン・エステバン・チャベス(@estecharu/COL/MITCHELTON – )。
彼も現在総合14位なので、決して不調ではありません。
元々エトナはチャベス向きのステージですが、総合3位のサイモン自らが狙いに行く可能性も十分に考えられます。
さらに第4ステージ6位のロマン・クロイツィゲル(@Roman86_KCZE/MITCHELTON – SCOTT)も好調で、チャベスの山岳アシストにとどまらない活躍を期待したいところ。
そんなジロ・デ・イタリア第6ステージは本日20:05からDAZNで生中継!
お見逃しなく!