【Giro d’Italia 2018】TAPPA05
こんにちは、スポーツライターのAkane(@akane_ikeno)です。
グランツールの一つジロ・デ・イタリア(Giro d’Italia)のコース紹介記事を毎日更新しています!
前日のレースの簡単な振り返りも行うので、レースを見逃した人はもちろん、レースを見た人もおさらいとしてご覧ください。
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第4ステージをプレイバック
昨日の第4ステージ、シチリア島での初戦を振り返りましょう!
第4ステージ:レース展開
今回もアクチュアル・スタート後すぐに逃げ集団が形成に向けたアタックが開始されます。
昨日の記事での展望通り、UCIワールドチームの選手も2名逃げ集団に加わり、24km地点で5人の逃げ集団となりました。
ヤコポ・モズカ(@SunJjak/ITA/WILIER TRIESTINA – SELLE ITALIA)、カンタン・ジョレギ(@quentinjauregui/FRA/AG2R LA MONDIALE)、第3ステージに引き続き逃げているマルコ・フラッポルティ(@MFrapporti/ITA/ANDRONI GIOCATTOLI – SIDERMEC)、フラッポルティ同様に第3ステージも逃げて、なおかつマリア・アッズーラを着用しているエンリーコ・バルビン(@barbenry/ITA/BARDIANI CSF)、そしてチーム成績で2位のLOTTO FIX ALL(@lotto_soudal)に39分の大差をつけるTEAM KATUSHA ALPECINのエース・マキシム・ベルコフ(@BelkovMaxim/RUS)です。
最初の4級山岳・ピエトロ・カルデまで逃げ集団・プロトンともに大きな動きはなく、山岳ポイント3点を獲得したのは逃げ集団でも唯一飛び出したバルビン。
山岳ポイントを8ポイントとし、今日の山岳ジャージのキープを確定させます。
2位以降はフラッポルティ、モズカと続き、プロコンチネンタルチームの3選手が山岳ポイントを独占しました。
一時は集団との差が1分を切ったものの、その後の中間スプリントポイント2カ所ももう一つの4級山岳・ヴィッツィーニも、5人が変わらずプロトンから2~3分前をキープした状態で進みます。
UAE TEAM EMIRATESによるアタックで波乱の展開に
ピエトロ・カルデを過ぎたあとの補給地点の手前から、後方の集団には変化がありました。
ファビオ・アル(@FabioAru1/ITA)を擁するUAE TEAM EMIRATES(@TeamUAEAbuDhabi)がアタックを仕掛けたのです。
UAE TEAM EMIRATESの予想外のアタックによって集団は縦に伸びます。
もともと道幅が狭いコースだったことやカーブで集団が詰まったこともあり、接触・落車が多発しました。
また、アンドレア・グアルディーニ(@AndreaGuardini/ITA/BARDIANI CSF)が発熱でDNFとなっています。
本人のTwitterによれば既に医師の診察を受けて自宅に帰っているそうなので、棄権自体は残念ですが大事にならずに済んだようです。
ラスト33kmあたりで、バルビンとジョレギが逃げ集団から遅れ始めます。
特にバルビンに関してはエトナの山頂までは青いジャージを着ることが重要なため、山岳ポイント6点を取った後は無理して逃げる必要がなかったからでしょう。
この後も逃げ続けたモズカ、フラッポルティ、ベルコフの3人は残り13.6kmで吸収されるまで逃げ続けました。
状況が大きく変わったレース終盤
レース終盤、イスラエルでは絶好調だったTEAM KATUSHA ALPECIN(@katushacycling)に悲劇が襲い掛かります。
残り17.2km地点で総合3位のホセ・ゴンサルヴェス(@josegoncalvesim/POR)のバイクにトラブルが起こり、一度は仲間のバイクを借りて再出発したものの、3kmほど進んだところでハンドルのずれを直すために完全に足を停めました。
集団がどんどん縦長になっていたこともあって最終的にマリア・ローザのローハン・デニス(@RohanDennis/AUS/BMC Racing Team)から27秒失い、総合順位も11位まで落ちてしまいます。
イスラエルの時点では総合トップ10に3人の選手を送っていたTEAM KATUSHA ALPECINでしたが、4位だったアレックス・ドーセット(@alexdowsett/GBR)は36位、8位だったトニー・マルティン(@tonymartin85/GER)に至っては総合でデニスに対して7分以上のタイム差がついた95位で第4ステージを終えました。
残り10kmでエドアルド・フロレス(@edozardi/ITA/WILIER TRIESTINA – SELLE ITALIA)が仕掛けたアタックに反応したのはヴァレリオ・コンティ(@valerioconti93/ITA/UAE TEAM EMIRATES)ただ一人。
すぐにフロレスが遅れはじめ、コンティの単独逃げになりました。
チームのエース・アルの前待ちも予想されたものの、長くは続かず集団に吸収されます。
第3ステージ優勝のエリア・ヴィヴィアーニ(@eliaviviani/ITA/QUICK-STEP FLOORS)や同じく2位のサーシャ・モドロ(@SachaModolo/ITA/TEAM EF EDUCATION FIRST)は集団から遅れ、スプリンターにとってはより過酷なステージだったことを伺わせました。
また、残り6.8kmでカーブと道幅が狭くなるボトルネックが重なった地点で落車が発生。
落車は集団が急に狭くなった道に大挙して押し寄せたことで端の選手が押し出されたことが原因でした。
落車したのはアンドレイ・ツェイツ(KAZ/ASTANA PRO TEAM)で、ツェイツは集団前方にいたため、落車の影響で後続は詰まって集団が分裂することに。
フラム・ルージュは総合6位のサイモン・イェーツ(@SimonYatess/GBR)を含むMITCHELTON – SCOTT(@MitcheltonSCOTT)の選手2人が先頭で通過し、エンリーコ・バッタリーン(@enricobattaglin/ITA/TEAM LOTTO NL – JUMBO)やティム・ウェレンス(@Tim_Wellens/BEL/LOTTO FIX ALL)の4人で最後の勾配13%に向けてダッシュ。
最終的にウェレンスが追い上げジロ通算2勝目を飾りました。
2位にはさらに後ろから追い上げたマイケル・ウッズ(@rusty_woods/CAN/TEAM EF EDUCATION FIRST)がランクイン。
第4ステージ:ステージ順位
まずはステージ順位トップ10を振り返ります。
- ティム・ウェレンス(LOTTO FIX ALL):5:17:34
- マイケル・ウッズ(TEAM EF EDUCATION FIRST):+0:00
- エンリーコ・バッタリーン(TEAM LOTTO NL – JUMBO):+0:00
- サイモン・イェーツ(MITCHELTON – SCOTT):+0:00
- ダヴィデ・フォルモロ(@davideformolo /ITA/BORA – HANSGROHE):+0:00
- ロマン・クロイツィゲル(@Roman86_K/CZE/MITCHELTON – SCOTT):+0:04
- パトリック・コンラート(@PatricKonrad/AUT/BORA – HANSGROHE):+0:04
- ルイス・レオン・サンチェス(@LLEONSANCHEZ/ESP/ASTANA PRO TEAM):+0:04
- ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(@pozzovivod/ITA/BAHRAIN – MERIDA):+0:04
- ヨアン・エステバン・チャベス(@estecharu/COL/MITCHELTON – SCOTT):+0:04
注目はMITCHELTON – SCOTT。
ステージ優勝こそは残したものの、ラストの上りで先頭4人になっても2人を残していたこともあり、サイモン、クロイツィゲル、チャベスの3選手をトップ10に送り込みました。
もちろん今ステージのチーム優勝もかっさらい、先週活躍を見せたサイモンに次いでいよいよチャベスも活躍の予感。
第4ステージ終了時点の総合順位
総合勢は3選手が入れ替わる、ステージ難度★★★にしては波乱の展開。
- ローハン・デニス(BMC Racing Team):14:23:08
- トム・デュムラン(@tom_dumoulin/NED/Team Sunweb):+0:01
- サイモン・イェーツ(MITCHELTON – SCOTT):+0:17
- ティム・ウェレンス(LOTTO FIX ALL):+0:19
- ペリョ・ビルバオ(@PelloBilbao1990/ESP/ASTANA PRO TEAM):+0:25
- マクシミリアン・シャッハマン(@MaxSchachmann/GER/QUICK-STEP FLOORS):+0:28
- ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(BAHRAIN – MERIDA):+0:28
- ティボー・ピノ(@ThibautPinot/FRA/GROUPAMA FDJ):+0:34
- パトリック・コンラート(BORA – HANSGROHE):+0:35
- カルロス・ベタンクール(@cabg1989/OL/MOVISTAR TEAM):+0:35
- 出走176選手/完走174選手/リタイア2選手(棄権1選手、途中棄権1選手)
- Maglia Rosa(総合首位)…ローハン・デニス(BMC Racing Team):14:23:08
- Maglia Ciclamino(ポイント賞)… エリア・ヴィヴィアーニ(QUICK-STEP FLOORS):130ポイント
- Maglia Azzurra(山岳賞)…エンリーコ・バルビン(BARDIANI CSF):11ポイント
- Maglia Bianca(新人賞)… マクシミリアン・シャッハマン(QUICK-STEP FLOORS):+0:28
総合トップ2のデニスとデュムランはそれぞれステージ12位と11位でフィニッシュし、ウェレンスに与えたタイムを最小限に抑え、総合順位もそのままキープしました。
グランツール3冠最後のピースを狙うクリス・フルーム(@chrisfroome/GBR/Team Sky)は他の選手の落車の影響を受け、2人にさらに17秒を空けられることに。
ステージ優勝のウェレンスは元々総合14位といい位置にいたものの、上位勢にタイムを大きく失った選手が多かったため、大きくジャンプアップ。
他にも昨年総合4位でクライマーのピノがトップ10に入ってくるなど、エトナ、グラン・サッソと、ジロを代表する山々が続く今週のレースがますます楽しくなる順位変動が起きています。
第5ステージ概要
第5ステージはシチリア島南部のアグリジェントからサンタニンファへ、西へ進むコースです。
- スタート:アグリジェント
- フィニッシュ:サンタニンファ
- 総距離:153.0km
- 中間スプリントポイント:Montevago、Poggioreale
- 補給地点:80km~83km地点
- 山岳:Santa Margherita Belice、Partanna、Poggioreale Vecchia-bv. SP.5(以上4級)
- ステージ:中級山岳
- 開始時刻:13:20(日本時間20:20)
- ステージ難度:★★★☆☆
- 引用元:大会公式サイト内ステージ05コース紹介ページ
コース後半に3つの4級山岳、その間に中間スプリントポイントが2つ並ぶコース。
「4級山岳、ステージ難度★3つ」という評価以上にタフなステージになりそうです。
残り75.2km地点のメンフィまではほとんど国道115号線に沿ったコースです。
このステージはメンフィを境に特徴が分かれています。
メンフィの手前は細かいアップダウンが多いものの、直線に近く緩やかな地中海沿いのコース、メンフィの先は4級山岳が50km以内に3つ続く、細かいカーブが多い内陸のコースです。
メンフィを超えると山岳と中間スプリントポイントが続きます。
中間スプリントポイントは前半が下り坂のモンテヴァーゴ、後半が上り坂のポッジョレアーレと、タイプの違う区間で競います。
本来ポイントを量産するようなスプリンターとしての能力以外にも、ダウンヒルやクライムの素質も求められるステージになるでしょう。
ラスト5.5kmの内訳は3.4kmの下りと、そのあとの2.1kmの上り。
最大勾配12%とはいえ、第4ステージに比べたら上りは可愛いものなので、パンチャーにもチャンスはありそうです。
第5ステージレース展望
昨日の波乱の第4ステージと明日のエトナに挟まれた本日の第5ステージは、多くの選手にとっては上手くやり過ごしたいところ。
逃げ切りを狙う選手以外はメンフィまでは大人しく集団内に埋もれ、後半の勝負どころに備えたいはず。
ただし、バルビンは逃げて9ポイントを奪取し、20ポイントを保持した状態でエトナに挑むつもり。
第4ステージ終了時点で山岳ポイント保持者は5人で、11ポイントを持つバルビンと辛うじていい勝負ができそうなのは7ポイントを持つフラッポルティのみ。
とはいえ昨日はバルビンに1位通過を譲っていた節もあり、今日も山岳ポイントを積み立てに来るかは微妙なところ。
ジロ第101回大会最初の逃げ切り成功が見られる可能性大の第5ステージです。
そんなジロ・デ・イタリア第5ステージは本日20:05からDAZNで生中継!
お見逃しなく!